▼2006年度 立教後期講義転載レポート
おかあさん(海老原 佳弥)
【解題】
教育学科2年の海老原佳弥さんの作品は発想の勝利だとおもう。彼女は自分たちが扮装した姿を実写し、その画像をコマ割に当てはめ、さらにフキダシも施すという、すごくパフォーマティヴな「同人誌」作品を幾つか発表していて、僕はその作品を見たこともあるのだが、恐らくは画力では問題を抱えているのだろうとおもう。そこで彼女は冒頭と結末のみを作画し、大部分の「中間」を黒味にフキダシのみを散らす、大胆な発想の作品を提出したのだった。フキダシ内の文字はここではタイポグラフィックな変容を施され、それ自体が「表情」をもち、しかも破局感に向けて変遷してゆく。同じ言葉を包んだフキダシは散らされ、読者の眼はそれを追うことで時間の蓄積を経験してゆく。そしてフキダシのかたち、という「漫符」に属する部分は、最終的に大爆発を遂げる。とすれば作品はメタ的なマンガ記号論としても機能していることになる。
興を殺ぐことになるので、作品の内実についてはこの解題で言及しない。ただ読んでもらえればいい。「奇妙な味」が見事、とだけはいっておこう。読者、ベタ塗りがマンガ作品のなかの最高の強度だということも発見するだろう。
(阿部)
おかあさん(海老原 佳弥)
おかあさん
文学部 文学科 教育学科2年 海老原 佳弥
