▼2006年度 立教後期講義転載レポート
空の街(吉田 一樹)
【解題】
史学科(西洋史専攻)2年、吉田一樹君の提出マンガも奇妙な味わいだ。鉛筆画の状態だが、彼はたぶん完成に向けてのペン入れもできるとおもう。
鉄骨の骨組を中心に鉛直方向に延びる空間が作品の主軸。「父」がかつてそこを通ったという確証をもとに、少年が少女とそこを上る。いや、少女といったが実はちがう。身軽で恐怖を知らない少女は、「猫耳」という萌え要素を加算され、人間に迫害される「猫族」だという事実がのちのナレーション・ネームで判明してゆく。ただし、作品の世界観は意図的に宙吊られている。たとえば主人公の「父」を取り巻く意味も、作品の進展によって何かを付加されるわけでもない。
ともあれ、作品では可愛い「猫族」少女とともに、鉛直方向に延びる空間の迷路性描写が主体となる。それは最初、上へ上へと延長されるだけだ。爆発を予感したサスペンス。だから圧巻が、空間全体を見下ろす一頁大の大俯瞰構図となる。そこに「落下恐怖」が集約される。
(阿部)
空の街(吉田 一樹)
空の街
文学部 史学科 西洋史専攻2年 吉田 一樹
